2015年11月16日月曜日

石油業界再編:JXと東燃ゼネラルの経営統合で進む製油所合理化と水素社会

https://surouninja.blogspot.com/2015/11/The-management-integration-of-JX-HD-and-Tonen-General-will-proceed-with-the-rationalization-of-their-refineries-and-Japan-hydrogen-society.html
石油元売り最大手のJXホールディングスが、ガソリン精製事業などの効率化を図るため、業界3位の東燃ゼネラル石油に経営統合を打診しているとのことである。

つい先日には、業界2位の出光興産と5位の昭和シェル石油が経営統合に向けて合意していることからもわかる通り、国内ガソリン需要減少と原油安にも耐えうる経営体質を獲得するために石油元売り業界の再編が加速しているようである。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151116/k10010307621000.html
JX 東燃ゼネラル石油に経営統合打診
11月16日 5時46分
石油元売り最大手のJXホールディングスは、ガソリンなどの精製や販売事業の効率化を図るため、業界3位の東燃ゼネラル石油に経営統合を打診していることが明らかになりました。
関係者によりますと、石油元売り最大手でガソリンスタンド「エネオス」を展開するJXホールディングスは、業界3位で「エッソ」や「モービル」などのスタンドを展開する東燃ゼネラル石油に対して経営統合を打診していることが明らかになりました。東燃ゼネラル側でも経営統合を選択肢の一つとして検討しているものの、社内には規模の大きなJXとの統合に慎重な意見もあるということです。
JXが交渉を打診した背景には、業界2位の出光興産と業界5位の昭和シェル石油が経営統合に向けて合意したことがあります。両社は再来年4月までをめどに新しい会社の設立を目指しており、ガソリンの販売数量で業界トップのJXに迫る勢いとなります。
JXとしては、経営統合を実現できれば製油所やガソリンスタンドの統廃合によってコストを大幅に削減することができ、競争力を強化できるというねらいがあるものとみられます。
石油元売り業界は、かつては10社以上ありましたが、出光興産と昭和シェル石油が経営統合に向けて合意したことで再編の機運が高まり、残るJXと東燃ゼネラル、コスモエネルギーホールディングスが再編相手を模索する展開となっています。

今回のJXと東燃ゼネラルの経営統合が現実のものとなれば、統合会社の売上は14兆円を超え、断トツの業界一位に君臨することになる。これは、第二位となる出光興産+昭和シェルの売上合計のほぼ二倍である。この統合が実現すれば、石油元売り業界は、コスモエネルギーホールディングスを含む大手3社体制となる見込みである。

この統合の注目点は、国内のガソリン過剰供給というチキンレース状態が大幅に冷却化される可能性があるという点だ。

国内では現状でも過剰な石油精製工場を石油化学シフトさせる努力を国を挙げて行っているが、乱立し絡み合う石油精製企業の利害関係から、製油所閉鎖などの計画を進め難い状況が続いている。しかし、そのような中でもJXと東燃ゼネラルだけは両者とも、単独の判断で閉鎖できる製油所を持っているのだ。つまり、JXと東燃ゼネラルが経営統合を実現し、製油所の廃止や合理化を促進すれば、業界の設備過剰状態がかなり緩和されることが期待できるということだ。

このJXと東燃ゼネラルの統合によって、国内石油業界は、長期的な原油安と低迷し続けるガソリン需給にも十分に対応できる体制が一気に整いそうな予感である。

また、既存の製油所の閉鎖だけでなく、攻めの設備高度化、つまり“石油化学シフト”も同時に加速することも期待できる。石化シフトが進めば、日本期待の“水素”燃料の精製能力も更に高まることが期待できる。現在日本が国策で進める水素社会の中心的な製品が燃料電池車(FCV)であるわけだが、その普及の鍵を握るのは、やはり水素の生産・供給の仕組みである。まずは水素の十分な生産力と販売網がなければ水素社会の実現はあり得ないわけだが、石油元売り業界の大規模な再編による“強靭化”は、日本の水素社会実現を後押しする可能性も高い。

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